蛇腹本



       
鴨頭草 鴨頭草(つきぐさ)
 
石川貴一 文
A6判、8頁、限定50部
300円 (送料別)

* なべてのものが、“青”と総称される色に染まる刻限。先生は、きつと、己が心の深淵を覗き見てしまつたに違ひない。その、天上的な悲しみの色を湛へた、青き水面(みなも)を、……
若櫻忌 若櫻忌(にやくあうき)
 
石川貴一 文
A6判、8頁、限定50部
300円 (送料別)

* 私は、ふいに、神へ捧げる供物に手を伸ばすと、その穢れなき額(ぬか)に口づけた。保(たもつ)は、さうされることが当然であるかのやうに、からだを近づけると、私の腰を強く抱いた。「靖国の御社で、待つてるぜ」と保は、私の額に、その穢れなき額を押し当てた。
白鳥記 白鳥記(はくてうき)
 
石川貴一 文
A6判、8頁、限定50部
300円 (送料別)

* だから、わたくしは、良人(おつと)を愛するがゆゑ苦しみを被つてゐるといふガーデの戯言(ざれごと)に、「もし、あなたの愛情の真剣さを信じる必要があるのでしたら、行動でお示しください。……男性として、良人に振る舞つてみては如何」といつた一文を、書簡に添へて送つた。
後夜宴 後夜宴(のちのやえん)
 
石川貴一 文
A6判、8頁、限定50部
300円 (送料別)

* 面紗(ベエル)に蔽(おほ)われたおもての景色は、眼に見えるもののすべてを、感情の元素へと還元してしまふ、公威(コウイ)の畏(おそ)ろしく澄んだ眸(ひとみ)に優しく映じた。「躑躅(つつじ)が咲いていますね」
郁乎隔 郁乎隔(いくよへだてつ)
 
石川貴一 文
A6判、8頁、限定50部
300円 (送料別)

* しかし、友人の行為が、或は、ことばが燃え上がり灰となつて崩れ落ちたとき、そこに残つたものは、ただの虚無だけだつた。私は、煤燼(ばいじん)に帰した友人の昏(くら)い背中を見守りながら、その影のなかで、着物の腰を捩(よ)じつた。妻と友人の情愛の交換は、ただちに存在の交換となり、私は、煤燼に帰してなほ、独立の鎧(よろひ)をまとつてゐるこの友人に欲情を覚へた。


蛇腹本のつくりかた



購入方法


戻る

Ads by Sitemix